父ちゃんの観察日記(2005)

2001年の秋、栗の季節に我が家にやって来た「くり」の日常を、
アメリカンフットボールで養った鋭い観察力(?)で追います。

【2005.12.30】 深夜のバトル
 嫁さんはいつも僕より先に寝る。僕は12時頃にいつも寝るのだが、その辺りで嫁さんは目を覚ますことが多く、トイレに立つ。すると“くり”は嫁さんが抜けた後のベットで、足の方に潜り込む。布団を跳ね除けられると、ここが一番暖かいのだ。

 そして、トイレから戻ってきて嫁さんが寝ようとすると、いつもバトルが始まる。ベットの中に足を入れようとした嫁さんに対して“くり”が「ガウウウウウ〜ッ、ガウッ」と唸る。嫁さんは「どいてよ」などと言いながら足を突っ込む。すると、時によっては“くり”が嫁さんの足に噛み付いて流血騒動になったりする。

 ところが、昨夜はバカに“くり”が静かだった。別に唸ることもなく、静かに嫁さんを迎え入れた。実はこれには訳がある。

 前夜に同じことがあり、あんまり頭に来た嫁さんは、“くり”をベットから蹴り出して脇から床に落とした。“くり”はすごすごと隣の部屋に出掛け、朝方までずっと寒い部屋で寝ていたらしい(昔はケージで寝ていたからヒーターを入れてあったが、最近では嫁さんと一緒に寝るからヒーターのスイッチも入っていない)。

 そして、冷〜たくなった体で、朝方嫁さんのベットに潜り込んだと言う。この、戻ってきた“くり”というのが良く冷えていること。大体、一発で冷たさに目が覚める。

 ということで、一昨日の夜に痛い目に遭ったことを覚えていたのかどうかは知らないが、昨夜は嫁さんがトイレに起きても静かにしていた訳だ。その話をベットの中で話し、我々は夜中に声を出して笑っていた。

 果たして“くり”には学習能力があるのかどうか。もう少し様子を観てみたいと思う。あいつは忘れっぽいからな。きっとまたその内に、壮絶なバトルがあるに違いない。「ガウ〜ッ」、「痛い! どいてよ」、「ウ〜ッ、ガウ〜ッ」、バタバタバタってね。

【2005.11.25】 2ショット
 富士川クラフトパークはELZAちゃんのHPで知り、前の日に行こうと決めたのだが、こんなにきれいな公園だとは思わなかった。10時半頃に到着してまず大きな芝生広場に感動。その大きな芝生広場の横にも幾つかの芝生広場がある。

 ちょっと山の様になったところでお昼ご飯を食べ、一番上の見晴台まで昇った。そしてそこから日本庭園に降り、さらに、駐車場の横から古い民家の横を通り抜け、別の広場に出た。どこへ行ってもきれいな芝生の上に、一杯落ち葉が積もっている。

 紅葉したヒマラヤ杉の前で写真を撮ってから迷路をとおり、最初に通った広場に来た時にはもう1時頃。何となく暖かい日差しがポプラ並木の間からこぼれて来て、とてもきれいだった。帰る前にここで写真を撮らなきゃと思った。

 枯葉の一杯積もった芝生の上で四つんばいになり、ズームを最大の12倍にして嫁さんにピントを合わせた。あとは、“くり”との2ショットのいいシーンが出来るのを待つだけ。

 全部で撮った写真は3枚だけだった。その内の最後の写真は「良く撮れたかな」くらいに思っていた。家に帰って来てパソコンに落としてみると、この3枚の写真が凄く良い。まるで、“くり”と嫁さんが親子のようなのだ。

 “くり”はまるで嫁さんから生まれてきた子のようで、何か話しかけようとしている。お腹が減ったのかな。本当はなんて言いたかったのだろうか。何か話した後、ちょっとすねるように下を向いている。まったく、甘えやがって。

 毎週末、僕は2日間で50枚くらいの写真はずっと撮り続けている。もう4年になるのだからおおよそ1万枚は撮っているだろう。いや、もっと沢山撮ったかもしれない。

 今まで、“くり”の走っている変な顔や面白い顔は沢山あった。でも、嫁さんと“くり”の2ショットでこんなに良い写真は無かった。ひょっとすると、あとにも先にも最高の写真なのかもしれない。

 たまたま知った公園に出掛けた日が風も無く穏やかな天気。そして、その公園は芝生が一杯で、紅葉の真っ盛り。僕はこの写真を観る度に幸せな気持ちになることが出来る。“くり”が家にやって来て本当に良かった。心からそう思う。

【2005.11.3】 たんぽぽ
 今日は嫁さんのお散歩観察日記から。

2005.10.26 無題 2005.10.31 過ぎたるは 2005.11.2 枯れた花なんか!
くりが毎日有機肥料をあたえて育てているたんぽぽです。 肥料のやりすぎには気を付けましょう。枯れます。 せっせと肥料あげたのに枯れやがって!今日はもっとヘビーな肥料をくれてやる。

 この日記は、現場から刻々と父ちゃんの携帯電話に送られてきた報告を、本人の了解を得て公開させていただきました。ちなみに、父ちゃんは仕事中にこの報告を何事もなかったように読んでおりました。

【2005.9.29】 長生きしろよ。
 昨夜、お風呂に入って寝る前に何となくHPを観ていた。お気に入りの中にあったtomodogの部屋というページが目に付いた。どんなページだったっけ。クリックして開いてみて思い出した。1984年から1996年までチワワ一家だった方のページだ。どうしてこのページを見つけたのかは忘れてしまった。ひょっとしてmixiだったかな。

 久し振りに、星になってしまったチワワンたちのページを開いたのだが、そのかわいい姿を観るだけで、とてもそれ以上は読めなくなってしまった。tomodogさんの家で飼っていたチワワンの他にも何頭かのチワワの写真が載っているのだが、一番若くして星になってしまったヴィッキー君の一生は僅か6年7ヶ月。

 “くり”がもしあと2年で居なくなっちゃたらどうなるだろう。考えただけでも悲しくなってしまう。「“くり”、長生きしてよな。長生きしてくれなきゃイヤだよ」。そんなことを考えながらディスプレイを観ていた。

 その時、カサカサカサっと音がした。“くり”が寝室から現れ僕のところにやって来た。そして、椅子に座った僕を下からジッと観ている。なんてタイミングの良いヤツなんだ。ツボを心得ている。“くり”のことを大事にしてあげなきゃ、と思っていたところに現れるなんて。

 僕は「よしよし、いい子だねえ」と言いながら頭を撫でたり、眉間の辺りをかいたりする。“くり”は気持良さそうに目を細める。椅子から降りてあぐらをかくと、“くり”はあぐらの横で上向きになりながら僕に寄り添う。頭を撫でたり、お腹を撫でたりしながら、僕は声をかけずにはいられなくなる。「長生きしなよ〜。かまってやるからね〜。お〜お、かわいいのう。よしよし〜。」

 “くり”はそんな僕の気持を知ってか知らずか、気持良さそうにしながら僕を見つめている。本当は「ボーロちゃんが欲しくて出てきたのに、父ちゃん、何だか変だぞ。まあ仕方ないか、ちょっとくらい付き合ってやればボーロちゃんくれるかな。お腹を撫でられるのも気持良いし、良しにするか」ってなもんだったかもしれない(「お腹すいた?」って小さな声で言ったら、シッポがピクリと動いたから多分そうだろう)。

 そんな訳でしばらく“くり”をかまっていた。そして、せっかくだからボーロちゃんでもあげるかという気になり、僕は立ち上がってケージの上のボーロちゃんを取りに向った。僕がボーロちゃんを出そうとするのを観た“くり”はすかさずケージに入った。

 「ん?、何で? そうか、こいつ寝る前にいつもボーロちゃんを貰っていたのを覚えていたんだ」。アテネ・オリンピック以来嫁さんのベットで寝るようになってしまった“くり”だが、それまではケージでいつも眠り、寝る前には必ずボーロちゃんを貰っていた。“くり”はそれをしっかり覚えていたのだ。う〜ん、何て凄いんだ。食べることに関しては。

 ケージの中でボーロちゃんを貰った“くり”に「今日はここで寝るの?」と聞くと、何もなかったかのようにケージからさっさと出ていったて。そして、カーペットの上でお座りをしながらこちらを見つめている。またもやウルウル光線が飛んできた。またまた、愛しくなってしまった僕はしばらく“くり”をかまった。

 だいぶ遅くなった。さあ、そろそろ寝るとするか。「トイレ行って来るからね」と行って用を足した僕が部屋に戻ると“くり”はもうそこに居なかった。そしてその時、寝室から「ギャッ」という嫁さんの声が聞こえた。

【2005.8.23】 いい女
 4年と1日を生きた“くり”が変わったかと言えば、な〜んも変わらない。「りゅう君」のページで4歳だと人間の何歳に当たるのかを見てみると33歳。お〜っ、ここ2年位が女盛りで一番色っぽい時じゃん。なのに“くり”は食っちゃあ、嫁さんの周りで寝るか、走るか、ほとんどボロのようなオモチャを振り回しているかだ。

 とは言うものの、寝転びながらお腹の辺にいる“くり”のお腹をさすってやると、気持良さそうな顔をする。調子に乗って「おまたを開きましょうね」などと言いながら、乳をさわったり、その終いにお腹に顔をうずめて遊んでいたりすると(誤解の無いように。“くり”が気持良さそうだからやって上げているのだ)、嫁さんから声が飛ぶ。「あんた、変態か」。はいはい、変態とでも何とでも言って下さいな。

 誕生日が来て、掲示板には「誕生日おめでとう」という書き込みがたくさんあったし、メールももらった。嫁さんは「最近私の誕生日にはおめでとうと言ってくれる人少ないのに、“くり”はいいな」とつぶやいた。「そんなもん、いい歳こいて、誕生日なんてそう嬉しく無いじゃん」と僕は答えた。

 実際のところ、自分の誕生日に「おめでとう」と言ってもらうのは嬉しいけれど、それ以上に“くり”の誕生日に「おめでとう」と言ってもらう方が嬉しくなって来ているのは確かだ。

 朝起きると、“くり”は隣の部屋から飛んで来て「早く1階に連れてってよう。ご飯食べたいよう」と嫁さんのベットの上で飛んだり、跳ねたり、くねったりするのが朝の日課となった。

 1階に行く。階段を降りきらない内から暴れだす。床に降ろした“くり”は嫁さんのところへダッシュして朝ご飯をもらう。このダッシュの速いこと速いこと。さらに、ご飯を食べ終わった“くり”は冷蔵庫の前でレタスを待つ。そして、レタスが終わったら(レタスの前の時もあるが)、大体はウンチをし始める(朝食前に手を洗っている視線の先で、後ろ向きの“くり”は腰を振りながら力んでいる)。

 ウンチが終わると、もう朝の仕事を終えた“くり”は前に座った嫁さんの膝の上で居眠りを始める。時々近くにやって来るウメをうるさそうに見ながら。

 歯を磨いた後に2階に上がると“くり”は既にソファーの上に座った嫁さんの膝の上かTシャツの中で寝ている。時には何を思ったか、ストレッチをしている僕のところに来て、オモチャで遊んでくれとせがむ。そんなもん、朝から遊んでられないっちゅうに。

 会社へのお見送りは、嫁さんに抱かれて玄関のところまで来るのだが、大体は鼻水を垂らしながら、目はトロ〜ンとしている。同じ様にトロ〜ンとしている嫁さんと“くり”に見送られながら僕は会社に出かける。

 帰宅してからの“くり”は、毎度の様にボロのようなオモチャ(どうして、手作りのボロの様なオモチャが好きなのか?)で遊んでくれとせがみ、その後はソファーの上やマッサージチェアの上(RAIDERSのトレーナーを下に敷くのが大好きだ)で居眠り。

 そして、定時になればボーロちゃんをせがみ、お座りと伏せとお手、それに伸び(お手をした後は、ついでにボーロちゃんを上の方に持っていくと“くり”は2本足で伸び上がる)をしてボーロちゃんを3つもらう。最近はこの定時がでたらめで、段々と早くなってきた様な。

 毎日、ほとんど変わらない生活だが、“くり”の表情の変化は楽しい。怒ったり、喜んだり(これは表情と言うより、シッポで判断する方が多いな)、そして、ジッと見つめてきたり。このジッと見つめられるのが好きだな。僕はあのウルウルした表情がたまらない。

 そして僕は思わず“くり”のお腹や顔に頬ずりぜずにはいられなくなってしまうのだ。いい女だのお、“くり”。

【2005.7.21】 一番いい場所
 ここのところ“くり”はソファアの上がお気に入りのようだ。ボーロちゃんを貰っってしまい、一日の楽しみが終わってしまうと大抵はソファアの上で「お前は本当に犬なのか」というような格好で寝ている。

 お陰で僕はお風呂に入る前のパジャマ争奪バトルをやらなくても良くなった。“くり”は僕が風呂から出てきても大抵はそのまま起きようともせずに寝そべっている。横目で“くり”を見ながらストレッチ体操をやった後、「“くり”、さあ寝るよ」と言っても知ら〜んぷり。

 しょうがないから、寝室の戸を少しだけ開けておき、“くり”はそのまま放ったらかしにして僕は寝る。“くり”は夜中に寝室に入ってきて嫁さんのところで寝ていることもあれば、嫁さんが朝ご飯の支度に起きた後寝室に入ってきて、僕の横で寝ていることもある。

 そんな訳で最近は平和な生活を送っていたのだが、昨日は何故か僕のベットの上でパジャマを下に敷いたまま“くり”は寝ていた。久し振りのバトルだ。ガウガウ唸る“くり”を足で押さえ込んで動けないようにし、パジャマを確保する。バアロウ、離さんかい。

 しかし、なんでまた昨夜はベットで寝ていたのだろう。良く考えたら昨日は涼しかったからリビングのエアコンは入れていなかった。それでも寝る時は暑くなるだろうと寝室はエアコンを入れておいた。

 何てことは無い。“くり”は涼しいところで気持ち良く寝ていただけだった。いつもなら、エアコンの風がそよそよと吹いてくるソファアの上が暑い。「こんな暑い所で寝られるかい」ってなもんだろう。

 結局“くり”はソファアの上がお気に入りになったんじゃなかった。単に、一番涼しくて気持ちいいところを見つけて寝ていただけだったんだ。夜中に寝室にやってるのは、リビングのエアコンが切られて、段々と暑くなるからに違いない。

 そういえば最近寝室で寝ている時は嫁さんの肩の辺りではなく、足の辺りにタオルケットを積んで寝ている。この場所はエアコンが一番良く当たる所だ。

 今日はまだ涼しいからソファアの上で寝そべっているが(まったく、寝そべっているとしか表現できない)、そろそろ風呂に入らないとまたパジャマ争奪バトルになりそうだ。パジャマ争奪バトルさえなければ、夜の“くり”は本当にいい子なのだが・・・・・。

【2005.6.4】 ワンパターン
 僕は毎週の様に“くり”の写真を撮り続けている。“くり”と出かける時はどこへ行くにもカメラを持参し、ことある毎にシャッターを切っている。多い日だと写真は30枚以上になるだろうか。

 撮影する時は、PhotoDiaryを意識しながら、シャッターを押す時に何となく台詞まで考えている。そして家に帰って来るとPCに写真を落とし込み、全部の写真を観ながら使えそうなものをピックアップする。

 その後は300×225の大きさで上手く収まるように写真を切り出す。で、次はPhotoDiaryに写真を並べながら、事前に考えていた台詞をもう一度考え直しながら書いていく。

 こんな作業を20分程度行えば、その日のPhotoDiaryが出来上がる。書いていて「本当は“くり”って何考えているんだろうなあ」と思うこともあるが、半分以上は当たっているんじゃないかという気もする(多分食べ物を要求している時は当たっているに違いない)。

 ワンコがこんなことを考えるはず無いよな、と思いながらも、写真を並べて台詞を入れると何となく本当に“くり”が喋っているように思えるから面白い。実施のところ、“くり”は嬉しい時、眠たい時、遊んで欲しい時、お腹が空いた時、怒りそうな時と、本当に表情が変わる。それに、シッポの振り方で何を考えているかすぐにばれてしまう。

 今、フッと後ろを向いてマッサージチェアの上で眠っていた“くり”が目をあけてこっちを観た。視線が合った瞬間にシッポが振れだした。しまった、“くり”は寝る前にもう一度ボーロちゃんをせしめようという魂胆だ。

 パソコンに向かって視線を合わせないようにしているのだが、後ろで何となくザワザワしながらシッポを振っている“くり”の姿が目に浮かぶ。そんでもって今度は「フン、フン、フン」と泣き出した。

 ギャッ、飛び降りた音がした。もう足元にお座りをしている。「フフフッ、フウウウウ〜〜〜ン(父ちゃ〜ん、腹減った〜。ボーロちゃんくれよ〜)」と言っているのが分かる。

 気が付けば椅子に手をかけて(間違った、前足だ)、僕のお尻の辺りをかいている。もう、こうなると収まらない。仕方ない、ボーロちゃんをあげてから寝るとするか。

 こんな風に、“くり”はワンパターンですぐに胸の内を読まれてしまうような生活を毎日送っている。だから、PhotoDiaryの台詞はまんざら当たっていない訳ではないのだ。

 はいはい、分かりました。ボーロちゃんあげますよ。そして、ボーロちゃんを2つ食べた“くり”は、さっさと寝室の嫁さんのベットに向った。はあ〜。

【2005.5.17】 父ちゃん、お帰り
 僕は毎週日曜日にフラッグフットボールに出かける。朝8時半頃に出掛けて12時頃に帰って来る。帰って来てまずは2階に上がっていくのだが、その時の“くり”は嬉しくて嬉しくて、完璧に島倉千代子状態になる(そう、あの腰のくねらせ方)。

 “くり”はとっても嬉しくて腰をくねらせたり、回ったりし、ソファーの上から伸び上がる。顔を近づけると、嬉しくてたまんない“くり”は、鼻の中までなめまくる。

 会社から帰った時の“くり”は「あら父ちゃん帰ったの? お帰り」ってな感じでちょっとこちらに視線を移す程度。下手をすると、知らんぷり。どうしてこんなに日曜日と差があるのか。答えは簡単だ。

 日曜日は僕が帰って来た後、散歩があることが分かっている。いや、コーンがあることが分かっていると言った方がいいかもしれない。「よし、父ちゃんが帰って来た。さあ、早くコーン食べに行きましょ」ってなもんだ。

 要するに“くり”の頭の中は食べることしかない訳だ。そんなことは百も承知なのだが、「父ちゃんお帰り〜。待ってたわよ〜」という態度に僕は思わず嬉しくなってしまう。それが、たとえコーン目当てだと思っていても、“くり”の甘え方に思わず喜んでしまう。

 そういえば昔、飲み屋のお姉さんの言葉が営業だと思っていても、ついついお店に行ってしまったことを思い出す。男はいつまでたっても懲りないらしい。

【2005.3.21】 どういう胃袋?
 しかし、“くり”は良く食べる。そして、良く寝て、良く走る。嫁さんがku:nelって雑誌を毎月読んでいるが、この雑誌は“くり”のためにあるんじゃないかと思う。

 夕食後も、さっきまで寝ていたなあ、と思っているとパタパタパタッと首を振る音が聞こえ、カツカツカツと近くに来たかと思うと、舌なめずりをしてこっちをじっと見ている。膝の上に乗せてあげると、頭を顎の所に摺り寄せながらおやつをせがむ。そして、前足で顔をかく。ボーロちゃんをもらうまでずっとこの状況だから、終いにはこっちが根負けしてしまう。

 大体が、こんな表情で「ねえねえ、父ちゃん、ボーロちゃんまだ〜?」なんて見られたら、「もう、しょうがないかな」って気持ちになっちゃう。嫁さんはいつも言う。「誰が教えた訳じゃないのに、媚び方を知ってるよねえ、“くり”は」

 しかし、夕食後だけじゃなく、お昼のおやつを貰った後、朝ご飯を食べた後でも、すぐに食べたことを忘れたかの様にいつも舌をペロペロ舐めている“くり”って、どういう胃袋をしているんだろ。

 今日だって、散歩の最後にはリードを付けたままの50メートルダッシュがあった。どう考えても“くり”は走りたかったんじゃなくて、早くミニストップへ行ってコーンを食べたかったに違いない。それは、直前の舌なめずりしながら散歩している“くり”を見れば一発で分かる。

 方々の子はフードが変わると食べないとか、食が細くてと言うのに、試供品だろうが何だろうが、例えばそれがビタミン剤でもフィラリアの薬でも食べてしまう“くり”って一体?

【2005.3.7】 タフなヤツ
 夕食を終え2階に上がり、さて夕刊でも読もうかと新聞を広げる。すると何処からともなく“くり”は現れる。それも、新聞の真上に。「ええい、邪魔だわい。どかんかい“くり”」と言っても無駄。

 読もうと思って顔を近づけた所に“くり”は必ず乗ってくる。「まったくもう、新聞読ませろよな」と思いながら新聞の上の“くり”を無視していると、そのうちに“くり”はオモチャのカゴの方に行く。

 「やれやれ、やっとどいたか」と思って安心したら大間違い。今度はオモチャを持ってきて、引張りっこをやろうと、再び新聞の上に乗ってくる。仕方ないからちょいと引っ張ってやり、その後オモチャを放り投げてやる。すると“くり”は直ぐにおもちゃを拾いに行き、再び目の前に現れる。

 「もう、このやろう、このやろう」なんて言いながらもう一度引張りっこしてやり、オモチャを投げてやる。2度位はオモチャを持ってきて引張りっこしようとせがむが、直ぐにオモチャを無視し、今度は手に噛み付いてくる。

 甘噛みだから痛くは無いのだが、かまっていると段々に“くり”は興奮してきて、ガウガウになってしまう。そして、噛み方もきつくなり、こりゃあヤバイわいということになる。

 ここからは、嫁さんの古い手袋の出番だ。左手に手袋をはめ、右手に鍋掴み(これも、“くり”のオモチャ)を持った父ちゃんは、もう噛まれてもへいちゃら。

 両手で“くり”をこねくり回してやる。最初の内は向かってくる“くり”だが、父ちゃんの執拗な攻撃に、段々と尻込みしだす。

 こうなるともう父ちゃんの勝利は固い。“くり”を両手で押さえ込んでギャフンと言わせたところで勝負はつく。手袋を外した手を少しだけ舐めた後、“くり”は嫁さんの足元にかけられた毛布の中に消えていく。

 「はははっ、どうだ参ったか」と思いながら僕は新聞を読む。しかし、毎日の様にこんなことがあるってことは、ひょっとしたら“くり”に遊ばれているだけなのだろうか。

 毎日毎日散歩しているのに、僕が家に帰ってくるとこの状態。“くり”は世の中で最もタフなチワワかもしれない。参りました! あんたは元気だわ。

【2005.2.6】 吉田公園
 昨日は久し振りに吉田公園に出掛けた。たまたま行く機会がなくて、12月25日以来の吉田公園になったのだが、“くり”はこの日を待ちわびていたようだ。

 吉田公園というのは2001年の春に開催された緑化祭の跡地で、芝生が多くてとても綺麗な公園。「しずかちゃん」というNPO団体が手入れをしてくれていて、公園はいつ来ても綺麗な花が咲いている。

 “くり”はこの公園がとっても好きだ。それは、人が少なく(どうしてこんなに綺麗な公園に人が来ないのか不思議なのだが)、誰もいない芝生広場で思いっきり走られるからだ。

 いつもの“くり”は地図の右上から左上に広がる大きな芝生広場で走りまくる。しかし、昨日の“くり”は違っていた。

 右下の第3駐車場で車を降りた“くり”は、もう嬉しくてたまらない状態。公園の事務所前を横切り、ときめきの小径を駆け足で上り始めた。時々振り返っては我々にも「早く来い」と促すのだが、途中からは我慢できなくなって、おしっこポイントへ一直線。

 さらに、いつもの誰もいない右の芝生広場へ行って、我々の間やら、あちこちをダッシュしまくった“くり”は、左側の大きな芝生でも走り回った。昨日は風が強く、本当に誰もいなかった。そして、“くり”は思う存分に走った。

 一体いつまで走るのかと思うほど走った“くり”は、芝生広場が終わった後もまだ小走り状態。そして、事務所のトイレを出た後、今度はまた急ぎだす。何てことは無い、吉田公園が終われば、次に来るのはミニストップ。早くコーンを食べに行こうと気が気ではなくなる。

 いつもの様にミニストップでソフトクリームのコーンをもらった“くり”は、これまたいつもの様に爆睡状態になった。こんなに幸せなワンコは、世の中を見渡してもそうはいないに違いない。そして、そんなワンコと一緒に住める我々も、とても幸せな人間に違いない。

【2005.1.15】 ウ〜ッ、ワンワン
 “くり”は時々、「ウ〜ッ、ワン、ワン」と吠える。どんな時に吠えるかといえば、近所の犬につられて吠えるのがほとんど。筋向いの家で飼っているポメは、10年も経つのにいまだに僕が家の前を通っただけでも吠えるくらいで、誰が来てもワンワンと吠えまくる。すると、その声に反応して、“くり”も「ウ〜ッ、ワン、ワン」と、ポメが止めるまで吠えている。

 この他にも、宅急便の人が来た時も“くり”は吠える(新聞配達のおじさんは大丈夫らしい)。2階に居ると人が来たのにまったく気づかないこともあるのだが、“くり”の鳴き声で「おやっ、誰か来たのかな」と玄関まで下りていくことがシバシバある。

 こんな時に“くり”を一緒に連れて行くと面白い。相手が見えないところでは猛獣の様に吠えまくっているが、面と向かうと静かになってしまう。“くり”は面と向かっては何も言えない小心者なのだ。

 こんな“くり”が吠えて困るのは、隣のおばさんの声がした時。おばさんが外に出てきて何か喋っていると“くり”は、ベランダの窓際のところに行っていきなり「ワンワンワンワンワンッ」と激しく吠え立てる。何でだか分からないのだが、隣のおばさんの声をまるで親の敵かの様に思っているらしい。

 実際のところ、嫁さんの実家に行っても嫁さんの母さんには吠えないところを見ると(最近は特にレタスをくれるから大好きだ)、隣のおばさんの様なタイプが嫌いなのかもしれない。

 昨日は昨日で、レイちゃんとアフィちゃんの誕生会に出かけるとき、信号機で止まったところ“くり”は隣に止まったバスに向かっていきなり吠え出した。嫁さんはコンコルド柄のバスに向かって吠えているのかと思ったのだが、どうもそうではないらしい。

 “くり”は上の方を向いて吠えていた。嫁さんは何に吠えているのかと“くり”の目線を追うと、そこには隣のおばさんと同じ年恰好のおばさんがいた。バスの中からニコニコと笑っているおばさんに向かって“くり”は吠えまくっていたらしい。まったく、何てヤツだ。

 “くり”は隣のおばさんの前でも面と向かうと吠えることは出来ない。どうもおばさんの声が嫌いらしいのだが、すると昨日はどうして吠えたのだろう。こちらもバスも窓は閉まっていて声は何も聞こえないはずだったのに。

 それとも、風貌を見て隣のおばさんだと思い、窓が開いていないのをいいの事に、“くり”は吠えまっくったのだろうか。この辺のところがいまだに謎だ。

 

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