父ちゃんの観察日記(2006)

2001年の秋、栗の季節に我が家にやって来た「くり」の日常を、
アメリカンフットボールで養った鋭い観察力(?)で追います。

【2006.12.31】 How Could Tou...
 今年の最後にこんな話を載せるのはとても辛い。でも、嫁さんから、ぜひこの話を載せてみんなに読んでもらって欲しいと言われた。もともとは、「ちゅーちゅーでござる」というチワワンのブログで12月10日に紹介されていた話で、家に帰って来て読んだら涙が止まらなかった。この子はどんな瞳をしていたのだろうと思うと胸が熱くなった。そして、こんな身勝手な人間にだけは絶対にならないようにと思った。読んでみて下さい・・・・・。

『How Could You...』  by Jim Wills, 2001

 私がまだ子犬だった頃、私はあなたが喜ぶような仕草をして、あなたを笑わせました。あなたは私のことを「うちの子」と呼び、私がどんなに靴やクッションを破壊しても、 私たちは最良の友となりました。 私が悪さをすると、あなたは私を指差し、その指を振りながら、「どうして・・・?」と問いました。

 しかしすぐに、あなたは微笑み、私を転がしておなかを撫でてくれました。あなたがとても忙しかったので、私の破壊癖は思ったより長く続きましたが、それはお互い時間をかけて解決しましたね。

 あなたに寄り添い、あなたの信念や、誰にも秘密にしている将来の夢に聞き入った夜のことを私は今でも覚えています。
あのとき私は、これ以上幸せな人生はないと、固く信じていました。

 私たちはたくさん散歩をし、公園で走り、ドライブし、途中でソフトクリームを食べました。 (あなたは「アイスクリームは犬の体に悪いから」と言って、私にはコーンしかくれませんでしたが・・・) 私はいつも陽だまりでうたた寝をしながら、あなたが一日の仕事を終えて家に帰ってくるのを待ちました。


 次第に、あなたは仕事や出世のために費やす時間が長くなり、やがて人間のパートナーを探すようになりました。 私は辛抱強く待ちました。あなたが傷付いた時や落ち込んだ時にはあなたを慰め、あなたの決断が間違っていても決して非難せず、あなたが家に帰ってくると、おおはしゃぎして喜びました。

 あなたが恋に落ちたときも、いっしょになって歓喜しました。 彼女−今はあなたの奥さんですが−は、「イヌ好き」な人ではありませんでしたが、それでも私は彼女を受け入れ、愛情を示し、彼女の言うことを聞きました。 あなたが幸せだったから、私も幸せだったのです・・・

 やがて人間の赤ちゃんが産まれてきて、私も一緒に、その興奮を味わいました。 赤ちゃんたちの、そのピンク色の肌に、またその香りに、私は魅了されました。 私も、赤ちゃんたちを可愛がりたかったのです。

 しかしあなたたちは、私が赤ちゃんを傷つけるのではないかと心配し、私は一日の大半を他の部屋やケージに閉じ込められて過しました。私がどれほど赤ちゃんたちを愛したいと思ったことか。でも私は「愛の囚人」でした。 赤ちゃんたちが成長するにつれて、私は彼らの友達になりました。

 彼らは私の毛にしがみついて、よちよち足でつかまり立ちをしたり、私の目を指で突付いたり、耳をめくって中を覗いたり、私の鼻にキスをしました。
私は彼らの全てを愛し、彼らが私を撫でるたびに喜びました。 何故なら、あなたはもう、めったに私を触らなかったから・・・

 必要があれば私は命を投げ出しても、子供たちを守ったでしょう。私は彼らのベッドにもぐりこみ、彼らの悩み事や、誰にも秘密にしている将来の夢に聞き入りました。 そして一緒に、あなたを乗せて帰ってくる車の音を待ちました。

 以前あなたは、誰かに犬を飼っているかと聞かれると、私の写真を財布から取り出し、私の話を聞かせていたこともありました。 ここ数年、あなたは「ええ」とだけ答え、すぐに話題を変えました。 私は「あなたの犬」から「ただの犬」になり、 私にかかる全ての出費を惜しむようになりました。

 そして、あなたは別の街で新しい仕事を見つけ、みんなでペット不可のマンションに引越しをすることになりました。 あなたは「自分の家族」のために正しい決断をしましたが、かつて、私があなたのたった一人の家族だった時もあったのです。 私は久々のドライブで、とても嬉しかった・・・保健所に着くまでは−。

 そこには犬や猫たちの、恐怖と絶望の臭いが漂っていました。 あなたは書類に記入を済ませて、係員に「この子によい里親を探してくれ」と言いました。 保健所の人は肩をすくめて、眉をひそめました。彼らは知っていたのです、歳を取った成犬たちが−たとえ「血統書」付きでも−直面する現実を・・・

 あなたは、「パパやめて、ボクの犬を連れて行かせないで!」と叫ぶ息子の指を一本一本、私の首輪から引き離さなければなりませんでした。 私はあなたの子供のことを心配しました。何故なら、あなたはたった今、このことを通して友情、誠実さ、愛、責任、そしてすべての生命への尊重の意味を、彼に教えたのです。

 あなたは私の頭を軽くたたき「さよなら」と言いました。あなたは私から目をそらし、首輪とリードを持ち帰ることさえ、丁重に断りました。 あなたにとって守るべき期日があったように、今度は私にも期日がやってきました。

 あなたが去った後、やさしい女性係員が二人やってきて言いました。 「何ヶ月も前からこの引越しのことを知っていたはずなのに、里親を探す努力もしなかったのね・・・」と。 彼女たちは首を振りながらつぶやきました。「どうして・・・?」

 保健所の人たちは、忙しさの合間に、とても親切にしてくれました。 もちろんゴハンはくれました。でも、私の食欲はもう何日も前からなくなっていました。 最初は誰かが私のケージの前を通るたびに、走り寄りました。

 あなたが考えを変えて私を迎えに来てくれたのだと願いました。 今回のことが全部、悪夢であってほしいと願いました。 そうでなければ、せめて私を気に留め、ここから助け出してくれる誰かが来てくれればと・・・

 しかし、幼い子犬たちの愛情を求める可愛らしい仕草には敵わないと悟った年老いた私は、子犬たちの明るい運命を脇目に、ケージの隅に引っ込み、ひたすら待ちました。

 ある日の夜、係員の女性の足音が近づいてきました。 私は彼女の後に続いて通路をとぼとぼ歩き、別の部屋に行きました。 しんと静まり返った部屋でした。

 彼女は私を台の上に乗せ、私の耳を撫で、心配しないで、と言いました。 私の心臓が、今まさに起きようとしている事実を予期し、ドキドキと鼓動しました。 しかし同時に、安心感のようなものも感じました。 かつての愛の囚人には、もう時は残されていませんでした。

 生まれついての性格からか、私は自分のことより、係員の彼女のことを心配しました。 彼女が今果たそうとしている責務が、彼女に耐え難い重荷となってのしかかっていることを、私は知っていたからです・・・かつて私があなたの気持ちをすべて感じ取ったように−。

 彼女は頬に涙を流しながら、私の前肢に止血帯を巻きました。 私は、何年も前に私があなたを慰めたときと同じように、彼女の手を舐めました。 彼女は私の静脈に注射の針を挿入しました。 私は針の傷みと、体に流れ入る冷たい液体を感じ、横たわりました。

 私は眠気に襲われながら彼女の目を見つめ、「どうして・・・?」と呟きました。 おそらく彼女は私の犬の言葉が分かったのでしょう、「本当にごめんなさい・・・」と言いました。

 彼女は私を腕に抱きました。そして、「あなたはもっと良い場所へ行くのよ。」 「ないがしろにされたり、虐待されたり、捨てられたり、自力で生きていかなけらばならないようなところではなく、愛と光に満ちた、この世界とは全く違う場所に、あなたが行くのを見届けるのが私の仕事なの・・・。」と、
急ぐように説明しました。

 私は最後の力を振り絞り、尻尾を一振りすることで、彼女に伝えようとしました。 さっきの「どうして・・・?」は彼女に対する言葉ではなく、
あなた、私の最愛なる主人である、あなたへの言葉だったのだと・・・。 私はいつもあなたのことを想っていました。これからもあなたのことを想うでしょう・・・

 そして私は永遠に、あなたを待ち続けます。
あなたの人生に関わる人すべてが、これからもずっと、私と同じくらい誠実でありますように・・・

 終わり・・・

 原文TUNAMARA KENNELSさんより
 訳 by あーにゃママ

 非営利目的であればどなたでも転載可だそうです。


 ここからは原文です。

『How Could You...』  by Jim Wills, 2001


When I was a puppy, I entertained you with my antics and made you laugh. You called me your child, and despite a number of chewed shoes and a couple of murdered throw pillows, I became your best friend. Whenever I was "bad", you'd shake your finger at me and ask "How could you?" But then you'd relent, and roll me over for a belly rub.

My housebreaking took a little longer than expected, because you were terribly busy, but we worked on that together. I remember those nights of nuzzling you in bed and listening to your confidences and secret dreams, and I believed that life could not be anymore perfect.

We went for long walks and runs in the park, car rides, stops for ice cream (I only got the cone because "ice cream is bad for dogs," you said),
and I took long naps in the sun waiting for you to come home at the end of the day.


Gradually, you began spending more time at work and on your career, and more time searching for a human mate. I waited for you patiently, comforted you through heartbreaks and disappointments, never chided you about bad decisions, and romped with glee at your homecomings, and when you fell in love.

She, now your wife, is not a "dog person" still I welcomed her into our home, tried to show her affection, and obeyed her. I was happy because you were happy. Then the human babies came along and I shared your excitement. I was fascinated by their pinkness, how they smelled, and I wanted to mother them too.

Only she and you worried that I might hurt them, and I spent most of my time banished to another room, or to a dog crate. Oh, how I wanted to love them, but I became a "prisoner of love".

As they began to grow, I became their friend. They clung to my fur and pulled themselves up on wobbly legs, poked fingers in my eyes, investigated my ears, andgave me kisses on my nose. I loved everything about them and their touch-- because your touch was now so infrequent-- and I would have defended them with my life if need be.

I would sneak into their beds and listen to their worries and secret dreams, and together we waited for the sound of your car in the driveway. There had been a time, when others asked you if you had a dog, that you produced a photo of me from your wallet and told them stories about me.

These past few years, you just answered "yes" and changed the subject. I had gone from being "your dog" to "just a dog," and you resented every expenditure on my behalf.


Now, you have a new career opportunity in another city, and you and they will be moving to an apartment that does not allow pets. You've made the right decision for your "family," but there was a time when I was your only family. I was excited about the car ride until we arrived at the animal shelter.

It smelled of dogs and cats, of fear, of hopelessness. You filled out the paperwork and said "I know you will find a good home for her". They shrugged and gave you a pained look. They understood the realities facing a middle-aged dog, even one with "papers."

You had to prise your son's fingers loose from my collar as he screamed "No Daddy! Please don't let them take my dog!" And I worried for him, and what lessons you had just taught him about friendship and loyalty, about love and responsibility, and about respect for all life.

You gave me a good-bye pat on the head, avoided my eyes, and politely refused to take my collar and leash with you. You had a deadline to meet and now I have one, too.

After you left, the two nice ladies said you probably knew about your upcoming move months ago and made no attempt to find me another good home. They shook their heads and asked "How could you?"


They are as attentive to us here in the shelter as their busy schedules allow. They feed us, of course, but I lost my appetite days ago. At first, whenever anyone passed my pen, I rushed to the front, hoping it was you that you had changed your mind, -- that this was all a bad dream... or I hoped it would at least be someone who cared, anyone who might save me.

When I realised I could not compete with the frolicking for attention of happy puppies, oblivious to their own fate. I retreated to a far corner and waited. I heard her footsteps as she came for me at the end of the day, and I padded along the aisle after her to a seperate room. A blissfully quiet room.

she placed me on the table and rubbed my ears, and told me not to worry. My heart pounded in anticipation of what was to come, but there was also a sense of relief. The prisoner of love had run out of days.

As is my nature, I was more concerned about her. The burden which she bears weighs heavily on her,and I know that, the same way I knew your every mood. She gently placed a tourniquet around my foreleg as a tear ran down her cheek. I licked her hand in the same way I used to comfort you so many years ago. She expertly slid the hypodermic needle into my vein.

As I felt the sting and the cool liquid coursing through my body, I lay down sleepily, looked into her kind eyes and murmured "How could you?"
Perhaps because she understood my dogspeak, she said "I'm so sorry."

She hugged me, and hurriedly explained that it was her job to make sure I went to a better place, where I wouldn't be ignored or abused or abandoned, or have to fend for myself -- a place of love and light

so very different from this earthly place. And with my last bit of energy, I tried to convey to her with a thump of my tail that my "How could you?" was not directed at her. It was you, My Beloved Master,

I was thinking of. I will think of you and wait for you forever. May everyone in your life continue to show you so much loyalty.

THE END.

 2006年も“くり”と一緒の楽しい1年でした。2007年が“くり”にとっても、皆さんにとっても良い年でありますように。
        

【2006.12.9】 役者やの〜
 今日は朝から雨。今年最後のフィラリアの薬をもらいに獣医さんに出掛けた。用事があったので国道1号線に出てから途中を右折し、獣医さんに向い始めた。普段は北街道を西に向うのだが、今日はいつもと道順が違う。

 ところが勘が鋭い“くり”はいつもと違う道順に嫌な予感を感じ始めたらしい。「やや、どう考えてもこれは嫌いな獣医に向ってるに違いないわ」と思ったかどうかは知らないが、徐々に口数が少なくなり、目線もうつむき加減になってきた。

 やがて、いつも通る道に入った頃には、もう完全にブルブルと震え始めている。そして駐車場に着き、待合室に入った頃には震えも最高潮に達し、目線も合わせようとしない。

 だいたい、“くり”は獣医さんにやってくるといつもこんな具合だから、「こんなに小さいのに、何処が悪いの?かわいそうに」と、もっと重症の患者さんを連れてきている人にまで同情されてしまう。「フィラリアの薬をもらいに来ただけです」と答えるのが、なんて恥かしいことか。

 診察室に入ると、まずは診察台の上で固まる。体温計を耳に入れられるだけなのにブルブルと震え続け、聴診器を当てられた日には、もう逃げ出さんばかり。

 今日も聴診器を当てられると、いつもの通り震え続けていたのだが、先生が一言。

 「ブルブル震えている割には、落ち着いているね」
 「そうですか?」と嫁さん。
 「だって、心拍数上がってないもん」
 「えっ、じゃあこいつは脅えてるふりしてんのか」と我々。

 目にライトを当てて診察が終わると、“くり”はもういつもの“くり”。さっきまでの震えていた“くり”は何処へ行ってしまったのか。診察台の上でシッポを振り始めるし、待合室に戻ると椅子の上ですっかりくつろいでいる。

 確かに、毎回診察が終わった瞬間に、何事もなかったように元の様子に戻る現金なやっちゃとは思っていたが、震えていたのも役者だったとは。

 毎夜、パソコンに向かっていると、椅子の所に来て「ボーロちゃんをちょうだいよう」と目をウルウルさせるが、ほかっておくと“くり”はさっさと諦める。おやつが欲しい時、お腹の中に入れて欲しい時、その他モロモロ、何かして欲しい時は色目を使ってくることは知っていたが、まさか、震える振りまでしていたとは・・・。恐るべし“くり”

【2006.7.23】 右の後ろ足が・・・
 太平橋を渡り、吉田町に入った辺りで、“くり”はムクッと起きる。それまでは完全にオフの状態だったのに、信号機を左折し、吉田公園に向う所で“くり”はスイッチが入り、“ハイパーくり”に変身する。どうして、スイッチが入るか分からない。ただ、吉田公園の気配を感じるようだ。

 吉田公園に到着した“くり”はもう手が付けられない。嫁さんの膝の上で飛び回り、車の外に出すとさっさと公園に向ってしまう。公園中央の道を小走りで走り抜け、オシッコポイントで用を足した後は、お昼ご飯の場所に一直線。誰が、教えたわけでもないのに。

 お昼のおやつをもらうと今度はダッシュ。公園右奥の芝生広場へスタコラと向う。大きな木の支えの前でオシッコした後は、ポンプかなんかの柵のところででかい方の用を足し、その後は誰もいない芝生広場をダッシュ、ダッシュ、ダッシュ。

 とここまではいつもと同じだった。嫁さんの周りを走り回った後は、嫁さんと僕の間を何往復かし、いつもの石の椅子があるところへマーキングに向った。その後こっちへ走ってきたのだが、妙に元気がない。暑くて疲れたな〜と思って撫でてやると、「キャン、キャン」と泣く。

 あれ、何でこんな泣き声を上げるの、と思って観ていると、“くり”の尻尾が下がっている。でも、普通に歩いているしどうしたんだろう。そう思って観ていると、右の後ろ足が痛いみたいだ。足を触っても別に痛たそうでもないのだが、ポーを触ると唸る。う〜ん、どうしたんだろう。

 いつもは芝生広場で走った後、真ん中のもうひとつの芝生広場に向って歩くのに、今日は道に座ってしまって歩かない。仕方ないから嫁さんがダッコして駐車場に戻ることにした。

 途中、友達の獣医に状況を話すと、「ひょっとしたら足がつってしまったのかもしれない。ポカリスエットのような水を飲ませてください」と言われた。でも、やっぱり心配だから、急いで静岡に帰って彼の病院に行った。

 彼は窓口で“くり”の足を触りながら、「いい足してるなあ」と感心している。足を引っ張ったり伸ばしたりするが、“くり”は特に痛がる訳ではない。「骨には異常ないでしょう」ということで、その場で鎮痛剤を一錠もらった。こういった時、普通ワンコは錠剤を食べないんだよな。でも、“くり”は嫁さんの手にある錠剤をむさぼるように食べる。おまえ、本当に足が痛いのか〜?

 家に帰っても“くり”は元気がない。嫁さんのビーズソファの中にしっかりとはまり込み、「ボーロちゃん」と言っても出てこようともしない。豆豊さんの豆菓子で、海苔が巻いてある「豆錦」の袋をガサガサやっても反応がない。いつもだったら、飛んでくるのに。

 やっぱり、足が痛いのかなあと思っていたのだが、9時ごろになるとパソコンの前に居る僕のところにやってきた。そして、シッポをブンブン振っている。さっきまで元気がなかったのに、もうボーロちゃんを要求している。

 「おまえ、本当に足痛かったのか〜?」。そう聞いても、ブンブンとシッポを振るばかり。良く観るともうビッコも引いていない。結局、いつもの様に、お座り、伏せ、お手を繰り返してボーロちゃんをせしめると、さっさとマッサージチェアの上で寝始めた。もちろん、軽く飛び上がってマッサージチェアの上に上がった。

 やれやれと思いながらもホッとした。翌日のフラッグフットボールの練習に備えて、僕も早く寝ようと10時頃にベットに入った。“くり”は嫁さんのベットで、上半身を布団から出し、伸びていた。そして、ガー、ゴーと大イビキをかいていた。「やかましいわい。静かにせんかい」というと静かになった。しかし、その後は鼻をスーピー鳴らしている。まったく、心配させておいていい気なもんだ。

 そして今日、“くり”はいつものように飛びまわっている。とりあえず、5日分もらった鎮痛剤は、いつものオヤツと同じで丸呑み。右の後ろ足は何事もなかったようだ。足がつっただけだったのか“くり”。大袈裟だっちゅうの。

【2006.7.17】 居場所
 メチャクチャ、久し振りになってしまった。もう4ヶ月もこのコーナーを更新していなかったとは。反省。でと、今日は“くり”の居場所について。

 普通、犬ってのはどこか決まった場所を自分の場所にするもんだとばっかり思っていた。ところが、“くり”と一緒に住んでみてこの考えは変わった。まあ〜、あっちこっちでとぐろを巻いたり、伸びたりしていること。どこのワンコもこんなに、あちこちに住みかを作るのだろうか。

 まずは、ソファの角。ここはかなりお気に入りの場所で、丸まっていたかと思えば、デレ〜ッと伸びている(何処の場所でも同じだが)。また、その姿が情けない。夏はエアコンの風が当たる特等席で、この場所がかなり気に入っている。

 次は、嫁さんが退いた後のクッション。ここは収まりがいいものだから、ずっぽりとハマってしまう。しかし、段々とダレてきて、最後にはこの有様。

 左側の写真はまだ許せる。しかし、右側の写真はなんちゅう格好だ。嫁さんでも、こんな格好はしないってのに、お前は、犬のプライドっちゅうもんが無いのか。

 

 ただ、この場所には唯一欠点がある。それは、あまりに収まりが良く、さらにクッションがビーズで出来ているということ。食べ物の匂いを嗅ぎつけて飛び出そうとした時に、時々4本足がバタバタと宙を泳いでいる。

 夜、嫁さんが寝てしまい、1人でパソコンに向かっている時。ふと、「一体何処へ“くり”は行ったのかな。もう、寝室に入っちまって嫁さんと寝てるのかな」、なんて思うことがある。あまりにも静かだから、もう嫁さんと寝てるだろうって思うわけだ。

 そんな時にフッと後ろを振り向くと、そこには、これまたダレきった“くり”の姿が。いつも、マッサージチェアの上に置いてあるタオルケットで、きれいに巣を作り、その中に収まっている。

 考えてみれば、“くり”のいる所はどこも、タオルケットがあったり、ひざ掛けがあったりと、必ず何か包まれるものがある。その究極が布団の中。

 朝、食事をして2階に上がってきても“くり”がいない時がある。寝室で仕度をしているとゴソゴソと布団の中から現れてくるのだ。

 特に、冬は寒いものだから、僕が抜けた後の布団の隙間にきれいに納まっていて、布団の中にいることすら分からない。そおっと、布団を開けてみるとご覧のとおり。で、ガウガウッて怒る。怒らんでもいいだろうが。

 そんな訳で、羽毛布団が出ている間は、うっかりベットの上に座ることも出来ない。圧死してしまったらえらいことになる。

 この他にも、トラの穴(ドームハウス)、嫁さんの机の下(ひざ掛けがある間)と“くり”の居場所は様々。毛布やひざ掛け、タオルケット。包まるものがあるところ全てが、“くり”に占領されている。それって、家の中が散らかってるってこと?

【2006.3.25】 嬉ション
 昨日は毎年恒例の人間ドック。夫婦2人で朝早くから出掛ける。7時頃には家を出るのだが、“くり”も心得たもので、朝早く出掛ける時で“くり”に何も構わない日は、一緒に連れて行ってもらえない日だというのが分かっている。バタバタと仕度をしていても、知らん顔してベットの上で寝ていたり、毛布の中にもぐったりしている。

 昨日も、「そんじゃ、行って来るよ」と一言声をかけたのだが、“くり”は何処にいるのかも分からないし、返事もしない。よく分離不安症うんぬんという話を聞くが、軽く夕方飲みに行く時や、朝病院に出かける時など、いつの頃からか察するようになり、知らん顔している。

 人間ドックは大体半日で終わり、昼食をとってからドクターの面談を受け、自宅に帰ることになる。昨日も、特段体に悪い所は無さそうだというのを確認し、家に帰ることになった。車の中で嫁さんは「帰ったら“くり”どこにいるかねえ」と言った。「そんなもん、2人が帰って来たのが嬉しくて、階段の上で待ち構えているに決まってるじゃん」と僕。

 家についてドアを開け、嫁さんがそっと2階に上がって行った。そして、途中で立ち止まり、階下にいる僕に向ってニンマリと笑った。“くり”は予想通り階段のところまで出迎えに来て、千切れんばかりに尻尾を振りながら首を下に向けて思いっきり伸ばしている。

 その顔は「早く上がってきてよ〜。寂しかったじゃないの。本当は早くお昼のオヤツが欲しい抱けど」と言っている。嫁さんが「待った? 待ってたかね〜」と言いながら階段を上がっていくと、もう“くり”は嬉しくてたまらない。

 嬉しさあまりにピョン、ピョン飛び跳ね、挙句の果てには「嬉ション」までしてしまう始末。嬉しいのは分かった。その理由がオヤツが欲しいというのであれ何であれ、嬉しいというのは分かった。分かったから「嬉ション」は止めてくれ。

 そういえば、前に夕方ほんの1時間ちょっと飲みに行って帰ってきた時も、嬉しさのあまり「嬉ション」をしたことがあった。まっ、後始末は大変だけど、オシッコ漏らす位喜んでくれるってのは、家族としてやっぱり嬉しいよなあ〜。お〜、よし、よし〜。ひとりで待たせて悪かったね〜。

【2006.1.22】 我が家の朝
 朝、嫁さんが「起きてよ〜」と1階から言う。この言葉で僕は起き始めるのだが、この声を聞いて同時に活動しだすヤツがいる。言わずと知れた“くり”だ。嫁さんが起きた後、隣の部屋にいた“くり”は走ってきて嫁さんのベットに飛び乗る。そして、僕が着替えている間、「お腹空いたよ〜。早く1階に連れてってよ〜。フウウ〜ン」と鳴きながら、もんどりうっている。

 着替えが終わって立ち上がると“くり”はお腹を上にして、「ねえ、1階に連れてってちょうだいよ」とせがむ。“くり”を左手の人差し指をアゴの下に当て、親指と他の指でガッチリと固めて階段を降り始める。

 どうしてそんなにガッチリ固めるかと言うと、階段があと3段位で終わるという辺りまで降りてきた時点で、“くり”は飛び降りようと暴れ始めるからだ。幾らなんでも1メートル以上の高さから床に飛び降りさせるのは危なくてしょうがない。

 暴れる“くり”をしっかりと抱きながら階段を降り切り床に放すと、“くり”はテーブルの方へ一気にダッシュする。何を隠そう、“くり”は平日の朝食時に毎日ダッシュをしており、このダッシュは散歩のダッシュよりも速い。

 朝ご飯をあっという間に平らげた“くり”は、僕がキッチンでウガイをしている時か、テーブルに着いて朝食を食べ始めた頃に、もうウンチをし始める。そして、朝の仕事が終わった後は、ストーブの前でぼんやりと座っている。人が食事中だろうが何だろうが、「私には関係ないわ。私さえ食べられればそれでもういいの」とでも言わんばかりの表情で。

 やがて、僕が朝食を終えた頃、“くり”は膝の上に飛び乗る。そして、机の上や膝の上に落ちた食べ物が無いか探し、それも終わるとお腹の辺りでくつろぎ始める(大体は何かのおこぼれに預かる)。

 朝食も終わり新聞を読んでいると、片付けが終わった嫁さんがやって来て“くり”を抱き上げる。冷たい手で抱きかかえられた“くり”は唸りながら、何故か片方の足を上にあげる。そして、その上げた足に嫁さんは顔を近づけポーの匂いを嗅ぐ。

 「臭〜っ」と言った後、嫁さんはえも言われぬ表情を浮かべ、ポーの香りを楽しんでいる。嫁さん曰く、お風呂に入ってから日が経つに連れて臭くなってくるポーの香りが何とも言えないらしい。

 朝起きた瞬間からこのように我が家の平日の朝は毎日過ぎていく。平和な、平和な朝が・・・。

 

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